展示物

123 丹波布裂

普通丹波木綿と言われるもの、丹波国佐治町を中心に織られ、一時は地木綿として盛んに京阪にその販路を持ち、主として庶民の夜具地や丹前程の用に応じた。感じの柔らかい温かい木綿で、味わいが中々深い。昔のこととて、手紡手織だが、藍草の青や榛の木の茶色で主に染めた。この縞貫の一特色は、いつでも緯糸に或間隔をおいて、染めない又撚りかけてない白糸を用いて縞を出すことで、あまり他の地方ではこの習慣を見ぬ。幕末が最も仕事に忙しく、明治中頃から衰え始めたが、一時は盛んな生産であって、地方産の木綿としては大いに特色があった。織りが荒いので丈夫とは言えぬが、それだけに温かく又味わいがあった。
(『柳宗悦全集 図録編 柳宗悦蒐集 民藝大鑑 第三巻』 1981年11月30日初版発行 編者 日本民藝館)

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