展覧会

特別展

秋季特別展 『多々納弘光の仕事―出西窯を育み、民藝に生きた陶工―』

秋季特別展「多々納弘光の仕事―出西窯を育み、民藝に生きた陶工―」
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会期:令和元年9月7日(土)~12月17日(火)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:水曜日

 出西窯の創業メンバーの一人であり、2017年6月29日に惜しくもこの世を去った多々納弘光。窯元の顔としてよく知られる存在ですが、これまでひとりの作り手として注目されることは多くありませんでした。
 弘光が出西窯で担っていた仕事は、主にハンドル(把手)付けと、型を使って成形する作品の製作。ハンドル付けにおいては、見た目の美しさとともに手に持った時の重量感や掴みやすさなどを重視しており、道具として使われることへの気配りを感じます。
 また作陶において轆轤を用いなかったため、型物の製作には熱心に取り組みました。非常に多くの種類の型を作り、そこから形を取った陶器には櫛描、点打、縄文、指描きといった様々な技法の装飾が施されました。どの作品にも弘光の美意識が表れており、表現の幅や奥行き、愉しさを示す実例として見る者に驚きと感動を与えてくれます。
 日中は出西窯の経営者としての仕事にも追われていたこともあり、工房に入るのは主に終業後、日が暮れてから。そのため作陶する姿を人に見られることは稀で、弘光は作陶には関わっていないと思っていた、という人さえいたのだそうです。
 そんな「名もなき陶工」が続けていた、喜びにあふれた仕事の数々を、どうぞご高覧ください。

◇出西窯について◇
出西窯は、1947年8月に、井上寿人、影山千代吉、多々納弘光、多々納良夫、中島空慧によって島根県出雲市斐川町で創業しました。開窯初期から、民藝運動の同人達の指導を仰ぎながら歩んできた出西窯は、用に即した健康で美しい実用の器を作り続け、現在でも多くの人々から愛されています。第二展示室では、代表的な日常の器はもちろん、1948年の初窯の作品から、出西ブルーと呼ばれる呉須の作品群、プロダクトデザイナーの柳宗理が関わった柳宗理ディレクションシリーズなど様々な年代や種類の作品をご覧いただきます。時代の変化にも応じながら、民藝の理念を礎に、暮らしを彩る実用の陶器を作ってきた出西窯の軌跡を併せてお楽しみください。


〈併設展示〉
第2展示室 出西窯の作品
第3展示室 古伊万里そばちょこ
第4展示室 大型の編組品と染織品

《関連イベント》
◇記念講演会◇
「多々納弘光と民藝」
 日時:10月20日(日)14:00~15:30(13:30開場)
 講師:多々納真氏(出西窯代表・出雲民藝協会会長)
 会場:国立民族学博物館・第5セミナー室(大阪日本民芸館向かい)
 定員:100名(要予約)
 聴講料:300円(別途大阪日本民芸館入館料が必要)

◇呈茶◇
 担当:大阪日本民芸館友の会有志
 日時:10月20日(日) 11:00~16:30
 会場:大阪日本民芸館・渡り廊下
 料金:500円(お抹茶とお菓子付)※別途入館料が必要、予約不要。

◇みんげいゼミ(少人数制の講座)◇
 「山陰の陶窯―出西窯」
 講師:中ノ堂一信氏(工芸史家、京都造形芸術大学客員教授)
 日時:11月2日(土)14:00~15:30(13:30開場)
 会場:大阪日本民芸館・会議室
 定員:20名(要予約)
 聴講料:300円(別途大阪日本民芸館入館料が必要)

 「思い起こすままに―多々納弘光さんのこと―」
 講師:山本教行氏(陶芸家、クラフト館岩井窯主宰)
 日時:11月24日(日)14:00~15:30(13:30開場)
 会場:大阪日本民芸館・会議室
 定員:20名(要予約)
 聴講料:300円(別途大阪日本民芸館入館料が必要)

◇はじめての「民藝」「民藝運動の広がりと全国の民芸館」◇
 初心者の方に向けて、分かりやすく解説します。
 日時:12月1日(日)14:00~15:30(13:30開場)
 講師:小野絢子(大阪日本民芸館学芸員)
 会場:大阪日本民芸館・会議室
 定員:20名(要予約)
 聴講料:300円(別途大阪日本民芸館入館料が必要)

◇ギャラリートーク(学芸員による展示解説)◇
 9月15日(日)、28日(日)、10月14日(月・祝)、22日(火・祝)
 11月10日(日)、30日(土)、12月7日(土)、15日(日)
 各回:14:00~14:30  
 参加費:無料 (※別途入館料が必要、予約不要)

◇Upcoming Exhibition◇

Special Exhibition: The works of Hiromitsu Tatano, the late potter
who raised the Shussai-gama kiln and lived to realize the Mingei ethos

Sep 7th(Sat)-Dec 17th(Tue)

Hiromitsu Tatano was one of the founding members of the Shussai-gama Kiln. He passed
away on June 29, 2017.
A well-known face as the manager at the Shussai-gama Kiln, Tatano was never in the
spotlight as an individual potter.
By day he was mainly responsible for the production of pieces with handles and molded
pieces, but when the working day was over he could be found in the workshop after dark.
As he was seldom witnessed in the making process, there were those who thought that
Tatano himself was not involved in making pottery at all. For this reason he has been
called ‘the unknown potter’.
Tatano paid great attention to the balance of aesthetics, weight, and ease of use in
handled works. Eschewing a potter’s wheel, he strived to produce a wide variety of
molded pieces, decorating them with comb lines, dots, straw-rope and finger-painted
designs.
Every work possesses Tatano’s sense of beauty; a surprising and moving display of his
breadth, depth, and enjoyment of expression.
Please enjoy the beauty in the works of ‘the unknown potter’.

Shussai-gama kiln

Shussai-gama kiln was established in August 1947 by Hiromitsu Tatano, Hisato Inoue,
Chiyokichi Kageyama, Yoshio Tatano and Kuue Nakajima in Hikawacho, Izumo city, Shimane
prefecture. Since the beginning, they have followed the Mingei leaders in making
practical, wholesome and beautiful vessels that enhance everyday life and remain much
loved to this day. Gallery 2 displays the kiln’s first firings of 1947 as well as
their iconic cobalt blue works called “Shussai blue”, a series of works made under
the direction of Sori Yanagi and various other works. Please enjoy exploring the unfolding
trajectory which maintains the Mingei ethos in parallel with the changing times.

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